宝塚歌劇宙組公演 グランド・ロマンス『王家に捧ぐ歌』-オペラ「アイーダ」より- 感想

宝塚歌劇宙組公演 グランド・ロマンス『王家に捧ぐ歌』-オペラ「アイーダ」より-@博多座2016/5/18(水)

 

 

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イタリアの大作曲家ヴェルディの円熟期のオペラとして有名な「アイーダ」を、宝塚バージョンとして新たな脚本、新たな音楽で上演した本作品は、2003年に星組で公演されて好評を博し、第58回芸術祭優秀賞を受賞。2015年には、宙組新トップコンビ朝夏まなと、実咲凜音の宝塚大劇場お披露目公演として再演されました。

エジプトと敵対するエチオピアは、ラダメス将軍率いるエジプト軍によってまさに崩壊状態に陥っていた。しかし捕らわれた王女アイーダにラダメスは心惹かれ、彼女を助けるために許婚のアムネリスの侍女とする。最初は敵国の将軍であるラダメスの求愛に反発していたアイーダだったが、すべてを賭けて愛を貫く彼を次第に受け入れていくようになる。しかし、二人の関係を知ったエジプト国王やアムネリスが、当然それを許すわけはなく……。古代エジプトを舞台に、エジプトの若き将軍ラダメスとエジプト軍に捕えられ奴隷となったエチオピアの王女アイーダとの悲恋を、華やかにドラマティックに描く。

 

 

 

幕が開くと目に入るのが全面の古代エジプトの壁画のセット。

意味深な言葉を呟く男が登場し、そしてセットの奥から現れるパピルスの舟に乗った純白の衣装の男女…と最初からぐいぐい物語に引き込んできます。

 

エジプトのエキゾチックで豪華な衣装がさすが宝塚!という印象です。

安っぽく見えない金色って難しいと思うので、マントの素材がなんなのかすごく気になります。

アムネリスの衣装替えも毎回楽しめましたし、ファラオは衣装もメイクも輝いていてすごいです。

 

豪華なエジプトと対照的なのがエチオピア。

照明と雰囲気の違う音楽と歌で緑豊かなエチオピアの地を想像した直後に戦場でエチオピア兵たちがスローモーションでエジプト兵に嬲り殺される無残さ。

しかも目を見開いて死んでいるのがむごさを際立たせます。

 

オペラでも有名な凱旋のシーン。

照明が落とされた真っ暗な舞台で、スポットを浴びた一人のエジプト兵が踊り、徐々に増えていく兵士たち…そして舞台が完全に明るくなる頃には大勢のエジプト兵の群舞となっており、迫力がありました。

 

ラダメスは部下から慕われ王女二人から愛され、理想を語り邁進する男性として非常に魅力的に描かれていました。

自信に満ち溢れた振る舞い、よく通る声が素敵です。

 

 

エチオピアとの戦争のあと、エジプトは平和な時間を過ごしていました。

エジプト人の人生を謳歌する歌、ラダメスの戦友であるケペルとメレルカの友情が心を和ませてくれます。

しかし、豊かさのせいで人々は努力をやめ、戦争が終わったから兵士たちは疎まれるようになった…ということも語られます。

アイーダの「戦いは新たな憎しみを生むだけ」という訴えといい、昨今の事情を考えると重たいテーマですね…。

 

さて、憎しみを強めるエジプトへの復讐を誓う、アイーダの兄・ウバルドと父・アモナスロは暗躍をはじめ、アイーダとの心の距離は離れていきます。

ファラオがラダメスにアムネリスと結婚するように伝えたとき「この結婚は娘も喜ぶだろう」と言ったのとは対照的です。

 

儀式の前のシーンでは歌が緊張感を高めていました。

テンポがよくて数を数える曲だからでしょうか。なんだかすごく耳に残っています。

 

ファラオ暗殺後にアムネリスが自身が女王になると宣言します。

ラダメスへせめてあなたの命を救いたいと願うシーンは一人の女性としての愛情が垣間見え、

処刑後の家臣たちへのふるまいはファラオとして威厳ある態度でした。

アムネリスは王族としてプライドは高いけど政治ができるタイプには見えなかったので急な変化に見えましたが、これからの生き方を懸命に模索しているようで良かったです。

 

ラストは、これまでのエジプト壁画や砂漠の黄色っぽい背景から一転、真っ黒でなにもないセットとなります。

再会して想いを確かめ合ったラダメスとアイーダパピルスの舟に乗り崩れ落ち、

ロータスをバックに立つアムネリスが自分が生きている間の戦争を禁じる命令をします。

アムネリスの自室では造りものであったロータスが、ここでは生花のようなものになっており、これからの新たな繁栄を示唆しているように思われます。

 

 

フィナーレはアイーダが歌うエチオピア版スゴツヨがとても美しかったです。

アイーダ役の方、とても華奢で高音がきれいで、なのに芯が強い役だということがしっかり伝わってきました。

 

 

アイーダ劇団四季で見たことがあったのですが、違う楽しみ方ができてよかったです。

 

 

 

 

 

ラダメス(エジプトの若き武将) 朝夏 まなと

アイーダ(エジプトの囚人、エチオピア王女) 実咲 凜音

アモナスロ 一樹 千尋

ファラオ 箙 かおる

ネセル 寿 つかさ

ファトマ 純矢 ちとせ

ヤナーイル(囚人) 花音 舞

ケペル(ラダメスの戦友) 澄輝 さやと

ワーヘド(女官) 綾瀬 あきな

ヘレウ(神官) 凛城 きら

サウフェ(エチオピア王家の元家臣) 星吹 彩翔

アウウィル(女官) 瀬音 リサ

カマンテ(エチオピア王家の元家臣) 蒼羽 りく

エジプトの戦士(伝令1) 風馬 翔

イトネーン(女官) 花咲 あいり

フィブラーイル(囚人) 桜音 れい

エチオピアの戦士(歌手) 星月 梨旺

ウバルド(アイーダの兄) 桜木 みなと

アムネリス(エジプト王ファラオの娘) 彩花 まり

タラータ(女官) 涼華 まや

メウ(神官) 朝央 れん

アルバア(女官) 真みや 涼子

エジプトの戦士(伝令) 七生 眞希

エジプトの戦士(伝令2) 秋音 光

マーリス(囚人) 美桜 エリナ

エジプトの戦士(伝令3) 秋奈 るい

イブリール(囚人) 小春乃 さよ

ターニ(女官) 遥羽 らら

メレルカ(ラダメスの戦友) 瑠風 輝