読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

能「杜若(沢辺之舞)」「土蜘蛛(問答入・入違之伝)」感想

能楽 感想

「第20回記念 ふくおか市民能特別公演@住吉神社能楽殿 2016/5/5(木・祝)

 

全席自由席なので前の席を取ろうと30分前に行ったらすでに年配の方々が10人ほど並んでいて、出遅れたとがっかりしていたのですが、話を聞いていると桟敷席はつらいから最後列の椅子席を取りたかったとのことでした。なるほど。

 

パンフレットと詞章が印刷されたプリントが配布され、始まる前には杜若と土蜘蛛の解説もあってとても分かりやすかったです。

 

杜若(沢辺之舞)

宝生流の「沢辺之舞」という小書はシテ方囃子方共に重い習いの曲の一つとのこと。

諸国一見の僧が三河国八橋の沢辺で咲く杜若を見ていると、里の女が故事を語り、杜若こそ在原業平の形見の花だと述べて、僧を庵室に案内します。

女は業平形見の初冠に二条后(藤原高子)の唐衣を身に着け、自分は杜若の精だと告げ、業平の東下りの様子などを舞いながら、草木成仏の法を得て、夜明けと共に消え失せていきます。

あまりにも有名な『伊勢物語』第九段の「から衣 着つつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ」の杜若です。

 

前場では里女の姿で現れるシテ。中入りせずに後見座で物着。

業平の初冠に二条の后の唐衣を着て、初冠には藤の花の飾りと左右に日影の糸がたらされます。男でも女でもない花の精として現れる。人間らしさ、生々しさを感じさせない優雅で美しい舞。

序之舞の初段でシテが橋掛に行き二ノ松で澤辺に咲く杜若を覗き込み、そのあとも舞台上では見廻す型が続きます。

解説では業平形見や二条の后が杜若を見るだけでなく、杜若が業平形見や高子を見上げているのでは…ともお話されていて、とても素敵だなと感じました。

 

 

 

土蜘蛛(問答入・入違之伝)

どちらも初めてみる小書でした。

問答入は不動明王に祈るんですね。 不動明王で病気平癒というと泣き不動を思い出すのですが、関係はあるのでしょうか。

入違之伝は頼光に切られたシテが橋掛で独武者とすれ違い、蜘蛛の巣を投げつけてから幕に走り込みます。

今回の市民能ではとにかく糸を投げるとは聞いていたので期待していたのですが、本当に28個?くらい投げていました。舞台上は真っ白、刀にも足にも糸がまきついて引きずるような状態に。

地謡の方々は扇を持たないときは膝でおさえて糸に巻き取られないようにしているようです。

後シテは打杖を持たずに、両手で糸を投げていました。観世流はこのやり方が多いとか。どの糸もきれいに見所まで飛んでいて、見ていて心地よかったです。

ちょうど目の前に糸がきたので先のおもりもよく見ることができました。