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ゲキ×シネ「SHIROH」 感想

劇団☆新感線 感想 観劇

SHIRO

         

登場人物感想から。

 

天草のシロー(中川晃教

バテレンと日本人の間に生まれ、同じ境遇の少年少女らと難破船で暮らす少年。鎖国政策によって国外追放になったものの船が難破したために日本に漂着、難破船に残されたバテレンの財宝を闇市で売っては船を修繕して海へ漕ぎ出すことを夢見て暮らしていた。シローの歌声は不思議な力を持ち、その歌を聴けば誰でもシローの思いのままに操ることができたが、その能力をお蜜に知られたことから運命が変わっていく。

牢で甚兵衛が殉教(まるちり)だと人々を狂乱させたときには「そんなのおかしい」と言ったシローが、最期は自分の怒りを起爆剤としてカクレキリシタンたちを煽動しまるちりへ駆り立てていきます。

洗礼もまるちりも、最後に叫んだラストジャッジメント最後の審判)も、キリスト教本来の意味は理解していなかったのでしょう。お蜜に洗礼を施したときも、ただ乞われたから、ぱらいそで会うためだったのだと思います。

特異な能力を持つ純粋な少年が大人に見出され政治的に利用され命を燃やし尽くす…すごく好きです…。

歌も安定感がありましたし、演技はお蜜の死からラストの十字架まで鬼気迫るものがありました。

 

天草四郎時貞上川隆也

かつては病人に触るだけで病気を治す奇跡を起こしていたが、ある日すがってきた病の娘ロザリオを渡して「これを持っているように」と指示。それによって娘は病気が治ったが、ロザリオを肌身離さず持っていたためキリスト教徒と間違われ、拷問の末磔の刑に処される。四郎は自分は奇跡の能力を誇示していたこと、神を試していたことを突き付けらつれ、そのことがきっかけで奇跡を起こす力を失った。そして自分がロザリオを渡した為に殺されてしまった娘の幻影を見ていた。

かつて自分が持っていた奇跡の能力を持ち、民衆を率いるシローとの対立がもっと描かれドロドロするかと思っていましたが、お蜜の正体が判明したときに衝突があっただけでした。シローとは見た目的に年齢差があるので、大人な対応を心がけていたのでしょうか。

 

山田寿庵(高橋由美子

黒髪ストレートに重めのバング、四郎との体格差で小柄に見えてキュートなのに、二幕からはがっつり戦闘にも参加していていて素敵。

最後に四郎に向かって「さんちゃご…四郎様…」と呼びかけたのは、やはり彼女にとっての神の御子は四郎だったのだと思います。

 

お蜜(秋山菜津子

絵双紙屋として登場し、シローに能力を人のために使えと説く。しかし正体は老中・松平伊豆守信綱のくのいち。信綱はシローの力を使って島原に民衆の反乱を起こし、それを完膚なきまでに鎮圧することで諸国の反乱の芽を封じ、幕府の御世を磐石のものにしようと目論んでいたのだ。

姐さんキャラ。

「こんな私でもはらいそに行けるのかい?」や洗礼名のマリアを「もったいない…」と言うあたり、シローより彼女のほうが業務上必要な知識としてキリスト教の教義を知っていたのではないか、と思うと…。

 

益田甚兵衛(植本潤)、レシーナお福(杏子)

作為的に「天の御子」伝説を流し、四郎を総大将に据えて反乱をもくろむ。

甚兵衛もお福は反乱を起こすこと自体が大きな目的でキリスト教は方便として利用している面が大きいと思っていたので(小西の遺臣設定でしたよね?)、最後の言葉は意外でした。

「私たちは自分の意思で戦っているのです。」「たとえ伊豆守の手のひらの上であったとしても、死に場所ができたわい。」

 

 

松平伊豆守信綱(江守徹

滑舌のせいなのか声が聞きづらいシーンが何度かありましたが、それもキャラクターの一部だと思えば…。

独特の雰囲気がありすぎて、只者じゃない感じはばっちりでした。

猫を抱いて登場したシーンではずっと動かしていたのが可愛らしい

 

柳生十兵衛橋本じゅん)、三宅蔵人(粟根まこと)、津屋崎主水(池田成志

全身真っ黒の衣装で見るからに悪役ですが、バーサク気味な武士と長いものには巻かれろタイプのキリシタン目付のお笑い担当。

 

板倉重政(吉野圭吾)、松倉勝家(右近健一)

お互いをしげちゃん、かっちゃんと呼び合う親友。ペアルックのような衣装とコミカルな動きで和ませてくれます。

衣装は板倉のほうが家格が上だからか豪華(刺繍?モール?)ですね。

主役のキリシタン組とはほぼ絡みがなく、もう二人の世界状態なのですが、インパクトがすごい。

 

                                    

全体の感想としては、まずテーマが重い(笑)

でも個人的にはギャグシーンが少ないので話がさくさく進んで入り込みやすかったと思います。

ミサイルなど現代の兵器の映像が使われており、社会問題にも踏み込んでいたのが驚きです。

ゲキシネ的には、殺陣でのスローはもう少し回数を減らしたほうが凄みが出るのでは…?もしくは逆に多用するとほうが効果的?

セットのテレビに文字や映像が映っていたのですが、それが良く見えなかったのが残念。オープニングの現代の雑踏やラストの戦艦やミサイルは見えたのですが、文字が全部読めなくて。

 

平成の浮世絵師、山本タカトの二人のSHIROHとリオの絵がものすごいインパクトでした。エンドロールでゆっくり見れたので満足。

衣紋や蓮華台が仏像テイストな聖母子像、背後はふつうの屏風(書いてあるのは健康の格言?)というのも、それっぽいです。

シローの衣装のヒラヒラはラストの十字架のシーンを効果的に見せていました。

 

歌はシローとお福が好きでした。

シローが自由へと漕ぎ出すための船に乗るんだ、みんなを連れて行く、と謳っていたのに、お蜜の一件では「いつのまにか嫌いな大人になってしまう時の船になってしまっていた」と歌うところは胸に来るものがありました。

お福のかすれた歌声がとてもセクシー。

 

冒頭の四郎が「私は神の御子じゃない!」と叫ぶと民衆の手が伸ばされるカットは劇団四季の「ジーザスクライストスーパースター」みたいでした。

 

ラストでカクレキリシタンたちが「殉教」に突き進むシーンの静かな迫力。

棄教すれば命は助かると説得する四郎の声に耳を傾けず、ゆっくりと民衆たちは無謀にも前進し、一人、また一人と銃弾に倒れていきます。

テレビに映し出されるのは戦艦や発射されたミサイル。何百年経っても争い続ける人間の醜くさ…。

 

 

 

 

 

出演

中川晃教 上川隆也 高橋由美子 杏子 大塚ちひろ 高田聖子 橋本じゅん 植本 潤 粟根まこと 吉野圭吾 泉見洋平 池田成志 秋山菜津子 江守 徹 他