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木村錦花の「研辰の討たれ」感想

先日「野田版研辰の討たれ」を観たので、原作の木村錦花の「研辰の討たれ」を読んでみました。

 

『日本戯曲全集』現代編 第7輯第39号に収録されています。

日本戯曲全集は近代デジタルライブラリにあると思っていたのですが、この巻はまだ公開されていないようです。

閲覧を希望される場合は、国立国会図書館または図書館送信参加館での手続きが必要。

 

読んでみて気が付いた点を箇条書きに。

 

・平井市郎右衛門は兄弟の父ではなく兄。たしかに父親が殺されたら残された子息は事後処理等やるべきことが山積みになってすぐ敵討ちに出立できないのかも?

・辰二の平井市郎右衛門への怨恨が深く、最初からだまし討ちをするつもりでいる。

・野田版辰二の印象は、弁が立つけど詰めが甘い、滑稽さに愛嬌があるキャラクターだと感じたが、原作では狡猾さが垣間見える。

 

・辰二と兄弟と対峙して命乞いをするシーン。

「ブルブル震へ出す。そして、酔払いか骨無のやうに身体をグニヤグニヤさせて、一向敵対する態度になつて来ない。」と書かれていて、ちょっと面白い。

・上記を「彼は、半ば意識してやつてゐるらしい。」とのことで、

 

・兄弟パートが少なめ。

・ラストの見物人がいなくなった所に戻ってきて辰二を斬るところ、わりと容赦なく辰二を斬っているような?「なんだかいやになってしまった」がとってつけたように感じられる。

・群衆がはやし立てるシーン、兄弟が仇討をあきらめたと見せかけた後の「向こうで別の仇討だ!」とかけていくシーンがないので、「群衆に殺される」というのは野田版独自のよう。

 

さらにこれの元ネタにあたる「敵討高砂松」、こちらはネットから読めます。

日本戯曲全集. 第四十九卷 渥美清太郎 編, 校訂 (春陽堂, 1933)

  http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1884042 22コマ~