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映画「君の名は。」感想

感想 映画

細かいことを考えたら負けです。
つまり映画館のスクリーンでリアルな街の風景描写とそれと対照的な幻想的な風景に圧倒されながら見るするしかありません。

ずっと描かれてきた糸守の風景が廃墟になって目の前に広がるすさまじい絶望感、そこからの犠牲者名簿でてっしー・さよちん・三葉の名前を見つける…という流れはよくできていると思います。

個人的には組紐の描写が好きで、あとは岩石信仰なのが好感度高いです。
カルデラと巨岩という組み合わせでモデルは阿蘇の押戸石かなと思ったのですが、諏訪湖説が有力のようですね。


200年前に存在した繭五郎とはいったい誰なのか、なぜ火事を起こしたのか。
糸と関係が強い「繭」に、一葉・二葉・三葉・四葉に連なる「五」
繭五郎は草履屋とのことなので、名前に繭がつくのは理由があると思いますし。
「火事ですべての記録が焼失」は瀧が真実を知った瞬間に三葉の残した文字(データ)が消えたのと似ていると思うので、
繭五郎は入れ替わりを体験しそれを文字に残して後世に伝えようとしたところ、人知を超えた力で書物を焼失させられ延焼したのでは。
四葉が入れ替わる人物が繭五郎か、その繭五郎の大火以降に「口噛みざけ」「組紐」「巫女舞」を残そうと奮闘した人物になるのでしょうか。

ところで、意味は失われたものの形が残っている伝統として登場する「口噛みざけ」「組紐」「巫女舞」、
作中で「口噛みざけ」「組紐」は重要な役割を果たしますが、「巫女舞」はなんだったのでしょう。

ご神体のある場所、カルデラではないだろうしおそらく2400年前に隕石落下でできたクレーターだと思います。
ご神体は移動して今の場所にあるんですよね。記録に残っていない隕石落下時に活躍した人物の石室の一部でしょうか。


作中ではあくまでもメインは瀧と三葉のボーイミーツガールであり、説明が省かれている部分がかなりあります。
明かされなくても想像をめぐらせて楽しめるのが上記。
次からは見ていてもやっとした点を挙げます。

①入れ替わりに対する周囲の反応がゆるい。
自分の名前が分からない状態に陥った生徒を病院なりカウンセリングに連れて行かない学校はないと思うのですが。特に都会の学校ほどメンタルヘルスには気を使っているはずです。
友人も「かわいい…」とか言ってる場合ではないはずです。
②瀧と三葉はお互い電話番号を押してているにも関わらず、まったく連絡を取り合わなかった理由は?
お互いの生活について決めた規則がメモのやり取りだけなのはさすがに不便ですし、電話番号を知っているなら電話なりメッセージなり直接やりとりするのが自然だと思います。
瀧が糸守の壊滅を知った瞬間に三葉の日記データが消える理由は?
さすがにタイミングよすぎて。
「存在しないもの」を人知を超えた力が破壊していくなら、糸守町が守られるという歴史改変も許されないはず。
もしくは糸守が隕石で消滅するという未来が、そもそも修正されるべき間違った歴史なのでしょうか。
これは劇的すぎて興ざめでした。
④一度目に瀧IN三葉がご神体を訪れたとき、瀧が糸守消滅後にご神体を訪れたとき、いずれも半身を置いて行っていないけど大丈夫?

半身~はただの言い伝えでだったのかもしれませんが…。

1回目は一葉の看破により強制送還されたのでノーカウント?2回目は口噛み酒(三葉の半身)を取り込んでいたので1.5人分になっていたりする…?
⑤三葉はどうやって父を説得し村民を避難させたのか
冒頭から父との不和が度々描かれる三葉にとっては、ここでどうやり取りするかはかなり重要です。
直前に瀧IN三葉に「妄言は宮水の血か」と吐き捨てているレベルです。
瀧の家庭の描写もほぼ省かれおり、ここでは家族の関係よりもボーイミーツガールに焦点を当てていることのあらわれだと思いますが、やっぱり釈然としません。
⑥三葉はなぜ瀧に恋愛感情を抱いたのか
瀧から三葉への恋愛感情は理解できるのですが、三葉が瀧を好きになるかは首をかしげてしまいます。
入れ替わっているだけでお互いの言動を知ることができないにもかかわらず恋愛感情を抱くというのは特に不思議ではありません。
(思春期の男女で恋人もいたことがないということだったので、美少年・美少女に外見だけで惹かれたり、秘密の共有で特別な感情を持つことは十分あると思います。)
しかし、父が町内の有名人であり常に周囲から見られている三葉にとっては瀧の言動は非常に迷惑なものだったと思いますし、
瀧がひそかに自分の胸を揉んでいることを知っても恋愛感情を抱くでしょうか。
「東京への憧れ」でかなり下駄をはいた結果の好意ということで納得していますが。

 


ラストでようやく二人は出会いますが、5年も虚無を抱えたまま生きた二人の人生を考えるとあまりハッピーエンドには感じられませんでした。
瀧は就活でも糸守の影を追っている節がありますし、人生の大切な時期を犠牲にしているのは確かです。
結局「探していた人を見つけた」ことは確かですが、記憶は戻らないようなので、 この二人はどうやっても胸に開いた穴を埋めることはできないのだろうと思うとなんだか悲しいですね。