明治座「SAKURA-JAPAN IN THE BOX-」感想


わたしが観劇した日は客席はおおむね埋まっており、日本人とインバウンドは6:4くらいでした。
日本人の年齢層は高め(ふだんから明治座に来ている方だと思います)。インバウンドの年齢は分かりにくいですが、若い方はあまりいませんでした。

観劇中にスマホアプリを連動させて楽しめる試みが面白いです。
開演前にアプリをダウンロードして指示に従って起動すれば、キャラクターのや解説・歌詞が表示されるほかシャッターチャンスをバイブレーションで知らせたり舞台をカメラで写せば桜の花びらがオーバーレイする仕組みです。
なおカメラ機能がありますが、画質は悪くズームはできません。座席と照明の角度の相性によっては衣装の反射で何も映らないことがあります。


出演者はみな若い女性のようで、きらきらしている姿を見るとさわやかな気持ちになるのですが、
内容は薄く、また、パフォーマンスも満足いくレベルではありません。

外国人から見るとストーリー性のなさとアニメ映像が相まって「幼稚」という印象が残ってしまうのでは。

チラシの監督?インタビューで「ふつうの『和』とは違ったことをやりたい」といったようなコメントがあったと思うのですが、
無駄に日本文化から逸脱させてフラフープやリボンを使った演技を入れる必要はあったのでしょうか。
和太鼓や琴などの生演奏は良かったと思いますが、
海外でも見れるものでインバウンドを満足させるのであれば、ずば抜けた技量や見せ方が必要だと思います。

年配の方でこういったパフォーマンスを鑑賞する方はすでに完成度の高いプロの演技を見慣れていると思いますし、
ミニスカ着物などではなく、普通の日本文化を新しく楽しめる伝統と技術のコンビネーションのほうが需要にあっているのでは。
アニメ好きの若い方からすればアニメ映像やコスプレの出来は満足いくものではないでしょう。
なにより、アニメ映像もコスプレもストーリー上必要があるとは思えません。

オープニングは制服を着た女子高生、渋谷のスクランブル交差点、秋葉原、無機質で雑然とした都市…という外国人がイメージする日本を詰め込んだものです。
明治座のとなりの稲荷社からストーリーが始まるのも観客を引き込む効果があると思います。

「日本の四季」と言いますが、海外にも四季はあるわけですし、もっと日本独自の景色を入れても良かったのではないでしょうか。
美しい日本庭園とかだけではなく、夏の暑さのなかコンクリートジャングルを歩くスーツ姿のサラリーマンなども日本的な映像だと思います。

夏の国の精霊CHOCOの名前、「CHOCO」としか言葉を発しない点も設定が良く分からずついていけませんでした。
風鈴を模したスカートなどは日本の夏を表していて好きなのですが

能面を3枚重ねて着用し、徐々に外して両手で持ち、さらにその能面が暗い中で発光するというのは意表を突かれ、個人的にはとても刺激的でした。
ただ、序盤で登場した歌舞伎の連獅子と扱いがあまりにも違いすぎて、悲しい気持ちもあります。
ジブリ映画「千と千尋の神隠しカオナシを意識しているのでしょうか。

 

インバウンド向けの夜のエンターテインメントとして、アニメと伝統芸能が融合した、明治座日本橋から世界に向けて発信するミュージカル・ファンタジー…という触れ込みにしては、なにもかもが中途半端だったように感じます。